幕末を駆けた桜




『そっちの奴は初対面だよな?

俺は新見錦。
そっちで言う…土方みたいな役職についている』



こいつが新見錦…?

『……神楽真白。1番組隊士』

できるだけ不機嫌オーラを感じさせないように言ったつもりだったが、新見錦は僕が思っていたよりも馬鹿だったらしい。


ワザとらしい笑顔に頰を引きつらせた沖田や土方と違い、僕を見て驚いたように目を見開かせた。

まるで僕の作り笑いに気づく様子がない。


『お前が1番組隊士⁈』


『……そうだが』


新見錦の意味のわからない質問に頷くと、何故か強く肩を掴まれ、前後に揺すられた。


『お前程強い奴が隊士…⁉︎
おい、お前、こっちに来いよ。

それ相応の役職を用意してやる』



未だに僕をゆすりながらそう言った新見錦が止まったのは、右を沖田と左を土方により手を掴まれたからであった。



『それ相応の役職…ねぇ』


そう呟いた僕を、沖田が不安そうに見つめ、土方が眉間にしわを寄せながら見つめた。



『それはそれは…いい話だな』


『おい、真白お前….『だが』…?』



土方の言葉にわざと被せるように言葉を発する。

土方、その先は言わせない。
“裏切るつもりなのか” なんて、言わせない。