幕末を駆けた桜



言いながら、段々と弓を持つ手に力が入るのがわかる。

パキッ…と音を立ててふたつに折れた弓が、それを物語っていた。


その弓を地面に投げ捨て、刀に手をかける。


『敵前逃亡…なんて、したく無いのなら出てこい』


声に怒りを込めてそう言うと、目の前の草がガサガサッ…と音をたてた。



『たく……何、あんた。
近藤一派に、あんたみたいな化物がいるなんて聞いてねえよ??』


潔く立ち上がりそう言った男を見て、沖田と土方は刀に置いた手を離した。


……て事は、こいつは味方ってことか?


『悪かったな。俺は、ここに入って来るものは9割方敵だと思ってるもんで』



たとえあんたらでもな…と言って口角を上げた男を、ギロッと睨みつける。


敵だと思っていたからと言って、たとえ敵対しているとしても同じ仲間に弓を放つとは…。


この男は、どこか気に入らない。