幕末を駆けた桜




『それを返せ、真白!』


僕をこのリアル鬼ごっこに巻き込んだ原因である“それ”を指して叫んだ土方の言葉に、ある提案が浮かんだ。



……これ以上これをする必要もなく。

上手くいけば芹沢鴨に会え、坂本とも久しぶりに話せるかもしれない。



いや、まぁ、坂本とは話さなくても別にいいが。


そう思い、前を走る沖田を無視して足を止めた。

僕の足音が聞こえなくなったからか、不思議そうに振り返った沖田を、もう一度無視する。



『……提案がある』



『提案、だと?』




いきなり立ち止まり、そう言った僕に警戒心を抱いたのか、土方がゆっくり近づきながらそう聞き返して来た。



『…ああ。その提案を飲めば、これは返してやる』



ヒラヒラ…と、土方が返せと叫んでいた“それ”を見せつければ、ため息をついた土方が提案を促した。



『これを返す代わりに、僕を八木邸へ行かせろ。
同伴者は…誰でもいいが、久しぶりに坂本と話したい』



そんな僕の提案が思わぬものだったのか、土方と沖田の2人が長い間停止した。


……そんなに突拍子も無いお願いだった気はしないが、そこは気にしない。




『お前…それは本気か?』



『本気でなければこんなこと言わない』