幕末を駆けた桜




僕の言葉に、一瞬考え込んだ土方さんを見て、沖田さんに視線を移した。



少し驚いたように僕を見ていた沖田さんは、僕と目が合うと、少しだけ口角を上げた。




……何故この状況で笑うんだよ、あんたは。




『お前、坂本に会ったのは京の町に来てからと言ったな?』


やっと口を開いた土方さんの…もう、敬語も外れてるんだし土方で良いか。


土方の言葉に、頷いてみせた。



『言ったな』



元と言えば、沖田が僕を追いかけてくるのが悪いんだよ。


何もしてないってのに。



……浪士ぶん殴ったけど、あれは正当防衛だと僕は思うよ。



『俺達に会う前か?』


『ああ…そもそも、あれから外に出るときは必ず沖田や斎藤が付いていただろう』



今更のように納得したらしい土方が軽く頷くのをみて、小さい溜め息を漏らした。




……なんだろうな。


さっきまで、震えてたくせに。
冷や汗流してたくせに。


いつの間にか、どっちも止まってるんだから。




その為にわざと話を伸ばしたのだとしたら、土方も考えたものだな…。




鬼になりきれない副長…か。


土方、あんたは少し、鬼になるには優し過ぎるんだよ。