幕末を駆けた桜






『……僕を、殺すか?』



再び訪れた沈黙を、今度は自ら破る。


だが、そんな僕の言葉に、組長方はまた息を飲んだようだった。



『俺達は、お前の事を何も知らねえ。
山崎に調べさせても、何も出てこなかった。


……名前も、な』





このままじゃ埒があかないとでも思ったのか、その沈黙も土方さんによって切られる。




というか、調べたのかよ。
山崎って、観察方の山崎烝…だよな。



最近の視線はそれか。



風呂の時も着替えの時でさえ見張りやがって。




『……あの、変態野郎』



『あ?』



まるで、僕の言葉に反応するように返した土方さんに驚いて顔を上げると、怪訝そうに眉間に皺を寄せた土方さんと目が合った。



……いや、違うか。
こいつはいつもいつも眉間に皺を寄せてるしな。



『山崎に会ったのか?』


『会ってはない…が。
あそこまで見張られてはさすがに気付くだろ。


そもそも、風呂や着替えの時まで覗く奴がいるかよ…?』



変態呼ばわりされても反論できないからな?
本当の事だし。