幕末を駆けた桜




『……僕が知ってる坂本は、正真正銘の坂本龍馬だ』



周りが息を呑む音が聞こえた。

それ程…、そんな音が聞こえる程、組長方も、もちろん僕も。



誰1人として、口を開くことはなかった。



視線を感じて沖田さんを見てみると、目が合った沖田さんは、まるで自分の事も言えば罪は軽くなる…とでも言うように頷いてみせた。




……すまないが、誰かを引きずってまで、自分のした事を軽くするつもりはないんでな。



折角のお誘いだが、丁重にお断りするとしよう。




『……いつからだ…』



暫くの沈黙の後、やはり口を開いたのは土方さんだった。


その声はまるで、怒りや悲しみを抑えているようで、微かに震えているように感じた。





『……最初から。

僕が、京の町に来た日にあった』


今考えてみれば、坂本龍馬と会ったのが1番初めだ。
その時は、沖田さんから逃げていたんだから。


間者だと言われれば否定のしようがないが、僕を隊士にしたのは土方さん達だ。



その事実があるから。
なんと言われようと、僕は自分が裏切ったなんて思わないからな。