となると、既にこの町は壬生浪士組の手により守られているということか。



そんな事を考え込みすぎて、前を向いて歩いていなかったからなのか。


誰かとぶつかり、体が揺らぐ。



……僕とした事が。


命がいくつあっても足りないようなこの時代だ。
周りを見ずに考え込むなど、あってはならないはず。



現に、顔を上げた先には、顔を赤くして怒っている浪士が、僕に向かって刀を振り下ろしてきているんだから。


『死ね、坊主‼︎』


ニヤリと。


僕を殺せると確信した笑みを浮かべた男の懐に入り、鳩尾を力任せに殴る。


生憎、僕は剣道が得意なのであって、別に武術に長けているわけじゃないんだから。


竹刀を取り出す前に、僕の前から消えた方が良いと思うけどね。



そう思いながら男を見ると、竹刀を取り出すまでもなくダウンしていて、思わずため息をつく。