幕末を駆けた桜




『……すいません、城山さん』



『いやいや、大丈夫だよ。

それより、今日は沖田組長が居なくて隊士達の元気が有り余ってるから、真白君に相手してもらいたいんだけど大丈夫かな?』




2人で道場に入る手前で、城山さんが申し訳なさそうな表情で僕にそう言った。



……それは、僕が沖田さんの代わりに手合わせをしろと?



『……僕では力不足では?』



それこそ、組長助勤兼副組長の城山さんがやるべきだと思うんだが。



僕の言葉に、苦笑いを浮かべた城山さんが気まづそうに頭を掻いた。



『それがね…真白君、組長達と仲がいいから。

隊士達が不満を持ってて…』





……成る程ね。
僕を気の済むままにボコボコにして気分を紛らわせたいわけ。


それにしても、組長達と仲がいいと言うよりも、未だに監視されているだけに思えるのは僕だけなのか。




仲が良い…訳じゃないだろ。



沖田さんと斎藤さんとは気兼ねなく話せるのは事実だが、原田さんあたりは未だに僕を信頼していない事が態度に出てる。



その証拠に、僕と話すときは必ず拳を握ってつま先を外に向ける。


確実に僕に向けない。



これは、土方さんでさえ例外ではない。



あの空間で僕が入ってきた瞬間目を逸らさなかったのは沖田さんと斎藤さん、近藤さんだけだ。