幕末を駆けた桜




『じゃあ、あの人を護衛につけるなら許すよ』


さっきとまでは打って変わって…楽しそうな声色でそう言った沖田さんに、皆の視線が集まった。



……待ってくれ、沖田さん。



その後の台詞を聞いちゃいけない気がするのは、僕だけじゃ無いよな?



『ほら…今日君に会いに来てたあの人…りょう君だっけ?』




ほら。



沖田さんは、いつも予想だにしないセリフを話してしまう。


僕でさえ、思考回路を読み取るなんて不可能なくらいに。


『あいつ…ですか』


名前を切り取って、坂本に(りょう)と付けたのもワザとらしい。


『総司…そいつは、信用できる奴なのか?』



疑いぶかい土方さんの言葉に、沖田さんがうっすらと笑みを浮かべた。




『真白君の事となるならば…信用できますよ』



沖田さんのその言葉に、言った本人以外…無論、僕を含めた組長全員が首を傾げた。



沖田さんの言葉の意味をつかむのが難しい。



『真白君、彼と会う予定はあるの?』



坂本と会う予定…?
そんなの、島原の事しか思い当たらない。




『……先程、島原で会おうと言われました』



きっとそのことは話の真意を、沖田さんは読み取ったのだろう。


面白そうに口角を上げて、芹沢さんと会わせる事を認めます…と言った。