幕末を駆けた桜





『……ろ! おい…真白!』



ふ、と耳に入ってきた怒鳴り声に顔を上げると、少し目を釣り上げた土方さんと目があった。



……鬼かよ。
もしくは、般若。


こいつ、守護霊でも引き連れてるんじゃねぇの? ってくらい怖いんだが。




『……すいません』



何か知らんが、ここは謝るのが最善策だろ。




『……まぁ、良いが。


芹沢鴨には気をつけろ。
例え男と思っていても食うからな…あの人は』




そんな土方さんの言葉に、沖田さんと藤堂さんが微かに肩を震わせた。



……成る程。被害者なんだろうな、2人は。




『……やっぱり、真白君を芹沢さんにあわせるのには賛成できません』



『土方さん、悪いけど俺も総司に同じく。
あんなの、女の力じゃ逃げきれねえ』




2人のその信ぴょう性のある言葉に、他の組長達も皆黙り込んだ。


迷ってるんだろうが…ここで会わせないという選択肢になってしまっては困る。



何が何でも、芹沢鴨に会って話して、近藤さんを説得してもらわなきゃいけない。



『……僕は大丈夫ですよ』




あえて、言葉にしては言わない。

その言葉の中に、いざとなれば斬るという意思を込める。