幕末を駆けた桜




『はい。芹沢さんの事でお話があるので』



山南さんの言葉に、いつか教科書で見た芹沢鴨の写真が思い浮かんできた。


芹沢鴨…か。


どうしてこうも、次から次へと面倒ごとがやってくるんだ。



坂本なんて、今はまだ動く時期じゃないくせに、史上にはない活動しないで欲しい。



対応するのも大変なんだ。




『わさわざ、手を煩わせて申し訳ありません…』



目の前の山南さんにそう言って頭を下げると、慌てた様な声が聞こえて顔を上げさせられた。



『いえ…僕は貴方に頭を下げられる様な事はしてませんよ』



そう言った山南さんの笑顔は、どこか儚くて脆く感じた。


…目の前にいる彼が、近い未来にここを脱走して切腹させられるなど、考えたくもない。



まぁ…それを阻止するのが僕の目的だがな。



『じゃあ、俺は帰るなー』



『ああ、帰れ。2度とくるな』




僕の言葉を聞いて眉間に皺を寄せた坂本は、僕の耳元に近づいて、山南さんにきこてないくらい小さい声で呟いた。



【今度の休み…島原で会おう】