幕末を駆けた桜




『それは……俺の心配をしてくれるんだよな?』




『何を言っている…? 当たり前の事だろう』



その僕の返答にも驚いた様に固まった坂本を、眉間にしわをよせて見つめる。


…何故坂本が固まるんだ。



『真白…お前さ、鈍感とか言われねえ?』


『僕が? 何変な事を言っている』



さっきから坂本がおかしい。
……元々どこかネジの外れてるところはあると思ったけど。



『坂本、今日は帰れ』


『そうだな……それが得策だ』




……ここにくること自体得策ではないと知らないのか、この男は。

今更、そんなことを言ってもな…。




『真白さん、土方さんが呼んでますよ』



突然聞こえてきた声に一瞬驚き、バレないように冷静を保って身構えながら振り返る。



振り返った僕の目に映ったのは、いつもの様に優しそうな表情を浮かべた山南さんで。


安堵のため息をついて、山南さんと向き合う。




『僕がですか?』