幕末を駆けた桜




『真白君居ないね…本当に彼に来客が?』



『それは確かだぜ?
土方さん並の美丈夫だ。見間違える筈ねえよ』




『……土方さん並みのねえ…?』




あまりに近い距離にいる2人に、心臓の音が聞こえるんじゃないかってくらい鼓動が早くなる。


バレる…気を緩めるな。



『お前、心臓の音早いけど』


『……っ…うるさいっ…!』



一々気にしていることを口にした坂本の足を踏もうとして、寸前で思いとどまる。


ここで声なんかあげられたら、元も子もない。




未だに門の前で話している原田さんと沖田さんを、物陰でハラハラしながら見守った。




早く何処かへ行ってくれ…。

いざという時の為に坂本を背中に隠し、門の方を隠れ見ながらそう願う。



『ここに居たか…総司、左之。
悪いが、もう1度近藤さんの部屋に集まってくれ』



僕の願いが届いたかの様なタイミングで聞こえて来た第三者の声…土方さんの声に安堵する。



…けど、また集合だなんてな。

やはり、これから何かあるのかもしれない。





『……まさか…来るんですか?』



僕の思った事は当たって居た様で、沖田さんの驚いた声が聞こえた。