『お前の顔を見に来たんだが、話せて良かったよ』


『……は?』


坂本の言葉に反応して、驚きのあまり変な声が出たのも構わずに坂本の両肩を掴んだ。



『お前は…自分が壬生浪士組に追われていると知っているのか?』



『そんな話も聞いたな』



『今はたまたま沖田さん達が会議だったから良かったものの……って…』



会議なのなら、どうして僕を呼びに来たのが原田さんだったんだ。

原田さんも、組長であるため幹部会議に出ているはずだろう?


と言うことは…既に会議は終わっていると言う事。

そして、沖田さんも…。


そこまで考えたと同時に、近づいてくる足音に冷や汗が流れる。



『____なの?』


『土方さんの____』



この声って、原田さんと沖田さんだよな…?

最後まで聞こえなかったけど、この状況はどう考えてもマズイだろう。



原田さんも坂本の顔を見ているわけだし、沖田さんに至ってはこいつが坂本だと言う事を知っているんだ。




『……坂本、ちょっと来い!』


近づいてくる足音に、慌てて坂本の流しを掴んで建物の陰に引きずり込む。


……こんな状況、2度とないと思っていたんだが。


会った時と同じ状況にため息を漏らす。

既に、声の聞こえる位置に居る原田さんと沖田さんに見つからない様に息を潜めた。