何を考えているんだ、あいつは。



確かに、名前は知れど、顔まではバレてないけど。



こんな事をやっていれば、即急に捕まる。




『少しは考えて行動しろ、坂本』


『よっ、真白』



門に着くやいなや、説教を始めた僕を遮るように坂本がそう言って右手を挙げた。


『その右手、切り落としてやろうか…?』



そう言いながら刀に手をかけると、青ざめた坂本は慌てて右手を左手で抑えて下ろした。



『刀……買ったんだな』


『ああ…妖刀だがな』



実を言うと、先日あの土方さんが一緒について選んでくれた。


もちろん金も土方さん持ち。



『女は刀なんて持つもんじゃない』

『お前の口からそんな言葉が聞けるとは、少し驚きだな』



坂本の言葉にそう返すと、可愛くねえ奴…と当たった坂本が乱暴に頭を掻いた。


……そもそも、こいつは何の用で敵陣に乗り込んできたんだ。


なんの考えもなしに乗り込むなんて真似、まさかあの坂本がするはずない…と思いたいが。


あいにく、目の前にいるのは史実にある様な坂本ではなく、こいつだからな。


史実とは、似て欲しいところが異なってると言うものだ。