幕末を駆けた桜




沖田と軽く話しながら道場の扉を開けると、中で坂本と土方が木刀を持って向かい合っていた。


……こんなの、本来なら考えきれない光景だったんだろうな。


こう言った光景を見ると、僕が歴史を変えてしまった事が強く実感させられる。
間違っていた、とは思わないが。


『お、真白がここに来るなんて珍しいな』


『総司と手合わせするのか』



扉を開けた事でこちらに気づいたらしい坂本と土方に軽く頷いて見せ、近くにあった木刀を沖田に手渡す。


『土方さんは少し退いててくださいね〜』

『総司、てめえっ!』



何時ものような会話を交わす沖田と土方に、自然と口元に笑みが浮かんだ。
こいつらは、何も変わらない。
僕が歴史を変えたとしても、変わらないままでいる事が少しだけ嬉しかったりする。


……言うつもりは毛頭ないけど。