幕末を駆けた桜




『城間……裏切りやがって』


『……何のことですかね』



僕の睨みにワザとらしく目をそらした城間に溜息をつき、沖田が差し出す紙を受け取る。


暫く眺め、問題点がないことを確認しそのまま沖田に返却した。

『あ、そうだ。今回は僕も前線に出る』

『え? 真白君が出るなんて、大将や元帥が許さなそうだけど』


大将や元帥と言われ、いつも何かと口煩い連中が頭の中を過ぎる。

確かに色々と言われそうだが、秘密裏に行けばバレずに済むだろう。
もしバレても、行ってしまえば僕の勝ちだ。


『最近どうも、体が鈍ってるような気がしてな。
久しぶりに沖田、お前とも手合わせがしたいんだが』



『あ、それならいつでも付き合うよ。
そろそろ真白君に一本打ち込んでやらないと』


僕の提案に嬉しそうに笑ってそういった沖田に僕も笑みを浮かべ、そんな僕達を見て溜息をついた城間を無視して立ち上がる。




『知りませんよ?』

『うん。適当に言い訳してて』