幕末を駆けた桜




『あ、居た居た。
真白君、これ、明日の戦の兵配置、確認して欲しいんだけど』



僕と同じく軍服に身を包んだ沖田は、元々の抽象的な顔出しのせいで、どこぞの王子みたいな格好になっていた。


そんな沖田は、現在特攻部隊として前線で活躍する中将なのだが、最近よく僕に兵配置を確認しにくるようになった。


沖田曰く、僕に会いにくる口実だとかなんだとか言って居たが、僕にしてみれば迷惑な話だ。



『沖田、今僕は忙しい』


『そう? 僕には暇そうに見えるけどね』


新しく頼んでいた弾丸を一つつまみ、隅々まで角度を変えて眺めながら呟くと、これまた王子みたいな笑顔で打ちのめされてしまった。




『沖田中将。真白中将は今手が空いて居ますので、気軽に使ってもよろしいですよ』