幕末を駆けた桜




『良いのか…?
お主は、頭も良く腕も立つ。
必ず、日本の次世代に役立つはずだが』


それは、確かに僕は未来を知って、この先の行く末を知っている。
けれど、その道を、彼ら以外と進んで行く気はしないんだ。


『……僕の家族は、新選組だけだからな』


1番大切なのは、自分の命でもなく、新選組。

桂や西郷、大隈に伊藤、高杉……坂本も。
皆大切だが、やはり1番大切なのは家族同然である新撰組であり。

生涯忠誠を誓った近藤勇だけだ。


『……やはり変わらないか。
これは惜しい者を死なせる』


『出来る限り、変えてみせる。
僕は、近藤さん達を殺したくない』



桂と話したおかげで、僕の今やるべきごとがはっきりとした。

何を迷ってる?

何を言われようと嫌われようと。
僕は、彼らを守るためにこの時代に来たんじゃないか。


『……桂、ありがとう』


『俺は何もしてないが?』


立ち上がった僕を下から見上げながら、桂がニヤッと口角をあげた。

それに僕もフッと笑って返す。


『坂本に、伝えていてくれ』



『次会う時、必ず僕はお前の味方である…と』


桂に背を向けてそう言うと、微かに背中越しに笑った声が聞こえたが、それは無視。

『確かに…伝えておこう』



その桂の言葉だけを聞き、新撰組に戻るため、足を進めてその場を立ち去った。



…まさか、桂にああ言われるとは。
あいつも、分かりにくい奴だ。


帰り道、思い出し笑いをしながら歩いていた僕を見て不思議に思ったのか、視線を感じた。
が、そんなことは気にならないくらい、僕の心は弾んでいた。