幕末を駆けた桜




なおも笑みを崩さずにそう言ってきた男に、返答に困る。

これは、どうすればいい⁇


ついて行っても、ついて行かなくても面倒な事になる様な気がする。


『……総司、こいつは誰だ』



嫌がる僕と、笑顔で話す男を見比べながら、美丈夫の男がそう口を開く。



今、この美丈夫、男に向かって総司って言ったよな?

という事はだ。



もしかしなくても。
目の前に居るのは、壬生浪士組…新撰組No. 1,2剣士の沖田総司⁇



こいつが?!

坂本龍馬の時もそうだったが、僕の想像と実物が違いすぎる。


『ありえねぇ…』



思わず呟いてしまった言葉を聞かれない様に慌てて口を閉じる。




が。時すでに遅し。

僕を見て口角を上げた、沖田総司じゃない方の男が、僕の手を強く掴む。


『お前、総司の名に反応したな⁇』

『……何のことだ』


慌ててしらばっくれるが、遅いらしい。

眉間に寄せたシワを深めた男が、いきなり僕の腰をつかんで担ぎ上げた。


『離せ!』

『誰が離すか。
怪しい奴は取り敢えず連行だ』



『どこにだよ!?』


僕の反論も聞かず、担ぎ上げたまま歩き始めた男の隣に、沖田総司が並ぶ。


『さすがの貴方でも、土方さんからは逃げられませんでしたか』


おかしそうに笑った沖田総司が、僕に向かってそう言った。