『あら、真白さんじゃない。
近藤さんを殺そうなんて計画立てて、今更どの顔を下げてここに来たのかしら?』
入って来た僕を見て静まり返った広間に、そんな伊東の声が響く。
……なんて耳障りな。
僕の名前を呼ぶな。その声で、その喋り方で、近藤さんの名前を呼ぶな。
その後も、僕が反論しないのをいい事にペラペラと御託を並べていく伊東を、ギロッと睨みつけ、腰に差している刀の柄に手を置いた。
『あんた、本気で言ってんのか?』
今度は、僕の自分でも驚くほど低い声が広間に響く。
そんな僕に怯んだのか、伊東は喋るのをやめて僕を見つめる。
他の隊士や、組長方の視線まで僕に向けられ、見世物のような状況に、バレないように奥歯を噛んだ。
『僕が、近藤さんを殺すだと?
ふざけた嘘流すのを大概にしろよ。どうせならもっと信ぴょう性のある嘘をつけ。
言っとくがな、僕が忠誠を誓い、守と決めたのは近藤勇殿だけだ。
そんな僕が、近藤さんを殺すわけが無い。
近藤さんが死ぬなら、僕が死んだほうがマシだ』


