幕末を駆けた桜




バシンッ…と、そんな音が屯所内の道場の裏に響き渡る。



『お前、長州に拉致られて無傷で帰ってきたんだろ?』


『本当はあっち側の間者何じゃないかって、幹部の皆さんが言ってたぜ?』




口元を歪めてニヒルに笑う男達が振り下ろす木刀が、容赦無く僕の体に痣を作る。



男達が言っている事は、すべてデタラメだ。
そんな事分かっているが、聞きたくない言葉を発しながら男達は僕を殴る。



伊東の手は、自分の息のかかった部下である隊士に、組長方にバレないよう僕を痛めつけて追い出すというもの。


……全くもって面白くないし、単純で笑えてくるが。


流石に、木刀は痛い。


体が痛むのを隠して土方と計画の話をするのも最近キツくなっている。



『真白〜? そろそろ休憩終わるぞ』



僕を探しにきてくれたらしい一番組の隊士の声に、伊東側の隊士は一目散にその場から消え去った。



思いため息をついて立ち上がり、袴に着いた泥や砂を手で払う。



……今回は脇腹をやられたらしい。

ズキズキと痛む脇腹を抑えて舌打ちをし、再度ため息をついてかけかけてあった竹刀を手に取った。



『……すまない、ありがとう』



『お、いたいた! ほら行こうぜ? 俺、今回はお前に勝つからな』