幕末を駆けた桜



『真白君!』

『ん…? あ、今度は沖田か』



バタバタと足音を立てて走ってきた沖田をみると、なんの言葉もなしに部屋へと上り込んだ沖田は、山南さんと僕の手を引いて立ち上がらせた。


……こいつには常識ってものがないのか。
仮にも、山南さんという上司の前だぞ、沖田。

あ、でもこいつは土方の部屋でも勝手に上がり込むからな…。


で、豊玉発句集を盗むと。



『沖田君、そんなに慌ててどうしたんだい?』


『山南さん、最近忙しそうでしたから、真白君と一緒に伊東さんのところに行きましょう‼︎』



そんな沖田と山南さんのやり取りに、思わず、足が止まる。
隣で、山南さんの足も止まっていた。



伊東甲子太郎に挨拶…?
なんでわざわざ僕が!


『……断る』

『ん? 何か言った? 真白君』



『だから、僕はわざわざ自分から伊東甲子太郎に挨拶気はない』



誰があんなやつ。
ましてや、こちらから出向くなんてな。