『真白、てめぇいい度胸だな?』
『……え?』
まるでロボットのように体が動かしにくかった。
ギギギ…と音が鳴りそうな程ゆっくりと振り返ると、鬼の形相の土方が仁王立ちして居た。
鬼が仁王立ちとか。
お前、どれだけ恐怖を極めるつもりなんだよ、この土方の使えねえ俳句下手野郎。
『……土方、山南さんに何の用だ?
今は僕が話してるんだが』
『あ? 俺も用が有るんだよ』
知らねえよ。お前なんか伊東甲子太郎と話してれば良いだろう。
山南さんを此処まで追い詰めたくせに、なんて調子のいい。
『そんなに睨んだらだめだよ、真白』
『う……っ、まぁ…山南さんが言うなら良いですけど』
いや、でもしかし。
土方が不思議そうに見てくるのが気にくわないんだが?
いっそその両目を繰り出してやろうか。
……土方への態度が悪化してるのは、気のせいだよ。
『真白、お前いつから山南さんに懐いた?』
『前からお前よりは懐いていたが?』
僕がそう言うと、ああそうかよ、とか言った土方は、山南さんに用を伝えずこの場を去って行った。
『なんだったんだ、土方のやつ』
『彼はいつも忙しそうだね』
そう笑いながら言った山南さんにつられて僕も笑みを浮かべる。
確かに、疲労で眉間のシワが取れない程度には疲れてるんだろうな。


