幕末を駆けた桜



久しぶりに見た沖田の顔色はよく、取り敢えずまだ労咳を発症していなかったことに安堵する。


そして、顔を上げて固まっている沖田を見て、沖田は一体なにを固まっているのかと思った瞬間だった。


『……んなっ!?』



目の前が真っ暗になった。

端的に言えば、視界が塞がれた。


何に? そりゃあ、沖田の胸板に。



抱きしめられていることに気づけばそれはまぁとてつもなく恥ずかしい。

沖田に抱きしめられている事が理解できないまま、周りに人が大勢いた事を思い出して慌てる。



『沖田、離せ!
取り敢えず落ち着け‼︎ 僕は聞きたい事があるんだよ!』


『……分かった。
土方さんの部屋に行こう』






沖田に手を引かれ、後ろで何やら噂する隊士達を無視して土方の部屋へと向かった。