幕末を駆けた桜




自分の名を当てられたせいか、少し反応の遅れたように見えた大隈重信は、坂本と僕をそのまま部屋の中へと通した。



『おー、やっと来た』


『遅かったな』



中に入って来た僕と坂本を見て、高杉晋作と桂小五郎がすかさずそう言う。

遅かったな…って、いったい何処の誰が殴って拉致したと思ってるのか。


坂本に促され、坂本の隣に腰を下ろす。


それから部屋を見渡すと、思わず顔がひきつってしまった。


薩摩と長州。

桂小五郎、高杉晋作、伊藤博文、西郷隆盛、大隈重信。


それと、坂本龍馬。



一体、僕はどうしてこんな偉人だらけの中に投げ込まれているのか。



『……で? 僕がここにいる理由、当然、教えて貰えるんだろうな?』



池田屋では、薩摩と長州を結びつけるのに一役買ってもらうとかなんとか言っていたが。

どう見ても、既に僕の力はいらないほど結びついているだろ、お前ら。



『薩摩と長州…両方の兵たちを説得して貰いたい』


『……は?』


少し間を空けてそう言った桂小五郎に、思わず何も考える暇もなく言葉が漏れた。