幕末を駆けた桜




『坂本お前、後で覚悟しとけよ』

殺気を含めながら低くそう言うと、顔を引きつらせて坂本は僕から距離をとった。


今距離を取っても、歩いている廊下がそう広くないから、そんなに距離は取れていないのだが。


『……で、何故薩長の元に坂本がいる?』



少し眉間にしわを寄せそう聞いた僕に、少し驚いたように目を見開いた坂本は、ニヤリと口角を上げた。


『薩長…な。
そうやって纏めて呼ぶ奴は、お前くらいだろ』


『……だろうな』




『真白、お前気づいてるだろ? 俺がやろうとしていること』



中々本題に触れない坂本に、短いため息をついた。


これは、僕から言えという事か。


『薩摩と長州を、結びつけるつもりだろう??』



僕の言葉に、待っていたかのように少しだけ声をあげて笑った坂本。

そんな坂本の笑い声に気づいたのか、2、3個手前の襖が勢いよく音を立てて開いた。



『坂本、何を騒いでいる?

……ああ、お前が、西郷の言う“変な奴”か』



中から出てきたのは、これまた初めて見る男。
西郷といったよな、この男は。
高杉晋作もなく桂小五郎もなく。さらには伊藤博文でもない。

と言うことは、この男は…。


『お前は、大隈重信だな?』


『……いかにも』