幕末を駆けた桜




声の主は、僕がまだ日の暮れていない頃に殴った浪士で。



仲間を連れてきたのか、刀を肩において僕を囲み、ニヤニヤと下品な笑みを浮かべる男達を見てため息をつく。



ふざけてやがる、こいつ。



武士としてより先に、人として終わってるんじゃ無いのか。

いくら男に見えたとしても、素手の子供相手に真剣で大の大人が寄ってたかって仕返ししようとするんじゃねぇよ。



自分の中の口調がどんどん悪くなっていくのを感じながら、いつ斬りかかってきてもおかしく無い浪士達を睨みつける。



僕の竹刀を使えばいいとは思うけど、こんな奴らになんか使いたくも無い。

死ぬなんてことは置いといて、こんな奴らのために、僕の竹刀を汚したく無い。


『昼は世話になったな、坊主』


昼とは違い、余裕そうな笑みを浮かべてそう言ってきた男を睨みつけて、鼻で笑う。



『昼間の…ヘタレ浪士が、僕に何の用⁇』