吉田稔麿と言えば、腕が立つと名高い。

こいつらが沖田相手に心配してないのはそう言うことだったのか。



『僕が、素直についとくると思うか?』



僕より頭1つ半分ほどでかい西郷隆盛を見上げて、余裕を持った笑みを浮かべる。


こいつらなら、逃げ切れる。
幸い、外は新撰組で固められているしな。

そろそろ、土方達も到着する頃だ。




『残念ながら、思わないな』


多分、西郷隆盛は僕に逃げ切れる自信があると気づいている。
それでもなお、西郷隆盛が余裕のある笑みを浮かべられる理由って何なんだ…?


高杉晋作、伊藤博文、桂小五郎、そして、西郷隆盛。


その部屋に足りないのはあと…考えられるのは大隈重信のみ。



『お前のその笑みの理由は、大隈重信か?』



後ろにいる3人に警戒しながら西郷隆盛を睨みつける。


隣の部屋からは、まだ激しい金属音が鳴り響いていたが、一階の方から聞こえる音はは少し落ち着いてきた。


ということは、土方達と合流したんだろう。
上に来るのも、時間の問題だ。