辺りを見渡してそう呟き、ため息をついた。
お金が無いということは、食べるものも無い。
それに、どこかに泊まることすら出来ない。
…まぁ、今日のところは別に木の上にでも寝れば良いとは思うけど。
さすがに、1週間も飲まず食わずで生きていくことなどできるはずが無い。
幸運な事に、この時代に興味を持っていろんな事を調べたから、文字の読み書きはできるが。
このご時世だ。
それが役に立つ仕事がどれぐらいあるのかという話だ。
『……仕方が無い。
仕事のことは後で考えて、寝床を探すとしよう』
誰もいないのにそうつぶやくのは、一種の現実逃避である。


