『……そうか…。
だが…。
百姓の成り上がりである俺らがここまで上り詰めたのは、他でもない上様のおかげだ』
近藤さんのその言葉に、思わず眉間にシワが寄るのを感じる。
上様のおかげだ…だと?
『失礼ながら近藤さん。
その言葉は訂正させてほしいですね』
『真白君…?』
上様のおかげだから上様の名に従う?
そんなの…馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
『本当に上様のおかげだと?
それは多少、何らかの影響があったかもしれませんが。
あなたが今この場に座っているのは、他でもない壬生浪士組の皆のお陰だからでは有りませんか』
『皆が居なければ、貴方はここまで来れなかった。
しかし…貴方が上様のおかげだと良い従い続けると言うのなら。
その仲間達の命を、危険に晒す覚悟はおありなのですね?』
そんな僕の言葉に、近藤さんの息が詰まったかのように見えた。
いや、実際、頭の中をよぎったであろう。
薩長土肥連合軍に敗れ散っていく仲間の姿が。
『近藤さん。
僕は、坂本の仲間ではなく貴方に忠誠を誓った、貴方の部下で仲間です。
あくまでも、貴方に逆らうつもりはありません。
たとえ死ぬと分かっていても、貴方と共に戦う道を選びます』