幕末を駆けた桜




『真白、で良いか。

俺の事は龍馬で良い』


『……まぁ、良いだろう。
宜しく、坂本』


坂本の言葉を無視してそう呼んだ僕を見て、坂本が口角を上げた。


『お前面白いな。

好きだよ、お前みたいな強気な女は』



そう言って笑った坂本に、思わず驚いて固まる。


今、坂本は僕のことを強気な女って言ったよな⁇


でも、僕は今男装的な格好で。
この時代なら髪の長さも十分男で通じるはずなのに。


……やっぱり、これからの日本の歴史を変える人物とまでなると、洞察力が半端じゃ無いってことか。



『もしかして、俺が女だと見破ったことに驚いているのか?』



当たり前だろうとでも言いたげな表情でそう言った坂本から目をそらす。


なんでこんなに自信満々なんだよ、この男は。



どっからその自信が来ているのか、不思議でならないな。