幕末を駆けた桜




『なぜお前がその名を…』


まぁ…この反応が適切か。
確かに、近藤一派である僕が彼の名を出すことはほぼ無いに等しいからな。


……坂本がよく屯所に来ていることを知っている前川邸の奴ら以外からしたら、だが。



『僕が、坂本と同じ思想の持ち主だからです』


『なんだと…⁉︎
だが、お前は近藤一派であるはず』



まぁ、その反応も、僕が未来から来たとか知ってなきゃ当然の反応だな。



『僕は…幕府を倒すべきだと考えています』


『だが近藤は違う』


『ですが…僕は近藤さんに忠誠を誓いました』



ここが矛盾しているんだ。今の、この僕の置かれている状況は。


近藤さんは上様が絶対と考える佐幕派だ。
もちろん、それは会津藩お預かりとして壬生浪士組が成り立っているからでもあるだろう。



『それにしても、よくお前が近藤の方に居られる。

あそこには、鬼がいるだろう?』



……鬼と言われ浮かんだのが土方しかいなかった事には少々苦笑いするしか無いが。


多分芹沢鴨も、土方を思い浮かべているはずだしいいだろう。




『土方には、僕の意見を伝えてありますよ。
それを知った上で、土方や沖田達は僕を前川邸に置いているんです』


僕の言葉に尚更驚いたように目を見開いた芹沢鴨は、少し考えた後、愉快そうに笑い声を上げた。


もちろん、上げたと言っても土方達に怪しまれるほどの大きな声ではなかったが。



『そうかそうか! あの土方をも黙らせたか。

それは面白いな!!』


『……そうですかね?』