幕末を駆けた桜




常識。と付け加えると、何がおかしかったのか声を上げて笑い始めた男を白いで見つめる。




『俺は坂本龍馬。
お前の名は?』



『坂本龍馬……ッ⁉︎』



誰でも一度は聞いたことがあるであろうその名前に、思わず声を張り上げそうになるのを抑える。


この男が、薩摩と長州を結びつけた……土佐藩の坂本龍馬⁇



こんな無礼な男が⁇


まさかの出来事に若干引いている僕を見て、坂本龍馬は目を細める。


『俺の事、知ってるのか』



……これは、怪しまれてるよな。

一応、知らないというのが適切な対応だろう。




『……知らないな。
僕は神楽真白だ』



無表情で誤魔化した僕の名前を繰り返すように呟いた坂本龍馬に向かって軽く頷く。