「アラケン、なんだって?」

「え?教科書貸してただけだよ」

「そうじゃなくて、なんか二人いい感じで話してたじゃん」


いい感じって何。

それでもマナのことを話していたなんて、本人の目の前では言いにくくて「大した話じゃないよ」と適当に濁しておいた。


それがかえって二人には意味深にとられたらしく、唯とマナは顔を見合わせてニヤニヤしている。

「そっかそっか、あっかとアラケンがね」

「結構お似合いだったよね」

「もうやめてよ、本当に違うんだってば」


丁度チャイムがなったので、マナは自分の席に戻っていった。

この時間が終わってもまた、教科書を返しにアラケンが来るんだよな。

もう二人から、からかわれるのは勘弁してほしいんだけど。