「大嶋、ごめん。突然連絡なんかして。双葉中でも頑張ってね」

『……ほらな、お前、押しが弱いんだよ。それ、本心で言ってんの?』


「本心なんて言ったら、きっと困ると思う」

『しょうがねえ、チャンスをやるよ』


突然電話がプツリと切れて、私はわけがわからないままディスプレイを見つめた。電話、切れちゃったのかな。


それから五分経った頃、玄関のインターホンが鳴った。


「……嘘でしょ」モニターには大嶋が映っていたのだ。


「会いたいって言うから来たよ。それは本心だったんだろ?」

「でも私、嫌われてるって思ってて……」


「そうやって考えるからだめなんだよ。

馬鹿じゃねえの?あんだけお前のこと好きだったのに、一日の出来事だけで簡単に幻滅するなんて思ってんのか?

……過去のことなんてもういいよ。こっからだろ」


そう言って大嶋は笑顔を見せながら、コンビニの袋を顔の横で振っていた。