「……男?」

大樹は大嶋のスニーカーを見つけた。閉まっている扉の磨りガラスから中の様子を伺おうとしている。


「ふーん、彼氏できたんだ。それとも何?俺に会えなくなったからって、新しくヤリ友でも作ったの?」

「違う!もう帰ってよ!」


「前までは散々俺に会いたがってたくせに。そういえば話ってなんだったのよ?」

「……大樹との関係を終わらせたかったの。だからもう、うちには来ないでほしい。

今、荷物持ってくるからちょっと待ってて」


私はひとまとめにしてあった大樹の衣類などが入った紙袋を取りに寝室に向かった。

そして再び玄関に向かおうとすると、リビングで訝しげな表情をした大嶋と目が合う。


それでも言葉は交わさずに、飾り棚に置いてあった灰皿をつかみ、その紙袋に乱暴に突っ込んだ。