「いいよな、余裕がある奴は。のんびり窓の外なんか眺めてさ」

「別に余裕があるわけじゃねえよ。今更勉強したってどうもならんだろ」


「ほら、それが余裕ある奴のセリフなんだよ。じゃなくてさ、お前は既に一か所合格もらってんだから、俺らよりはだいぶ気持ち的にも楽だろ」


確かにそうなのだ。今の俺は、ヒロに比べたらずいぶん気持ちに余裕はあるのだろう。


先日、札幌の私立高校の合格発表があり、俺の元にも結果を知らせる通知が届いていた。


試験を終えた時点で、それなりに手応えは感じてはいた。とはいえ、道内でも偏差値はトップクラスの高校なのだ。

きっと俺だけではなく、会場にいたほとんどの奴が、同じような手応えを感じていたに違いない。


だから合格とわかったときには、本当に驚いたのだ。