カラオケのカクテルってやけに甘ったるい。頭がぼうっとした中で、私はテーブルを挟んで向かい側にいる大嶋に触れたくなってしまった。


「……そっちに行ってもいい?」


大嶋が好きだったのは過去の事で、今はなんとも思っていない。こんなに大胆になっているのもきっと、アルコールのせいだ。

上半身をふらつかせながら大嶋の隣に座る。


「大嶋。私、あの時、大嶋を振ってなんかいない」


涙が出るのもアルコールのせいだ。


「宮西?どうしたの?」


「私だってあの頃、好きだった」


こんな形で返事をすることになるなんて。何を言っても、今更もう手遅れなのに。


そもそも、返事をすることすら意味がない。だって大嶋の中では『振られた』という結果で終わっていたことだったんだから。


それに、私だってもう。


それなのに大嶋はどうして私を抱きしめてしまうんだろう……