「……悪いな、せっかくの再会で真面目くさった話をして」

大嶋は、しばらくたって衣がべちゃべちゃになってしまったタコザンギを口に放り込んだ。


私は首をぶんぶんと横に振ってから、タコザンギの付け合わせとして添えられているサニーレタスをかじった。


「ううん、間違ってない」


彼の言う『脚色』部分こそが真実なのだ。私は確かにあの時大嶋が好きだった。

彼の言うとおりで両思いだったのだ。


思い切って言ったあとに間が空いてしまったので、私は恐る恐る上目遣いで大嶋の表情を伺うように覗き見た。


目を丸くしていた大嶋だが、ふっと糸が切れたように安心したような笑顔を見せる。


「そっか。変なこと言ったかと思って若干後悔したけど、わかってくれたんならいいや。あの頃の会話なんて、いちいち覚えてねえしな」


「……うん。私も知らず知らずのうちに、過去をすり替えてることあると思うよ」