ヒロと浅倉が二人で自転車を押しながら帰っていった。

「お前は?浦東を待ってるのか?」

「ううん。バレー部は今日は昼過ぎまであるみたいだし」


もし帰りの方向が宮西と同じだったら、俺はここで一緒に帰ろうと誘うことができたんだろうか。

そのまますぐに帰ってしまうのももったいない気がするし、まだこいつに時間があるならぎりぎりのところまで一緒にいたい。


「ねえ、大嶋。これから暇?カラオケ行かない?」

「……えっ?」


まさか宮西からそうくるとは思わなかった。急な展開に、心臓の音が早くなっていく。


「私ね、すごくカラオケ行きたい気分なの。でも唯もいないし、マナもヒロとデートだし」

「別にいいけど……」


「じゃあ一回帰ってから、着替えてまたここに集合ね。1時半でいい?」

「うん、わかった」


……二人きりなんだよな。しかもカラオケ。

呆然としている俺に気づかないまま、宮西は俺に手を振り颯爽と自転車のペダルを漕いで行った。