『仕事頑張って!夜、ライン待ってるからね』

男の人に『待ってる』だなんて、子供の頃は絶対に言うことなんてなかったのに。


大人になって、それなりに恋愛を経験してきて、私はいつの間にか男の人が喜ぶような単語を知ってしまっていた。


ふとディスプレイを見つめ直してみる。こうしてやりとりしている中で、画面の向こう側にいる大嶋の姿は、中学校のときから変わっていないように思えた。

それがすごく懐かしく思った反面で、私は大嶋からどのようなイメージで捉えられたのだろう。


そもそもあの頃の私ってどんな女の子だったのかな。今更ながら、大嶋は私のどういうところが好きだったんだろう。


あの頃の大嶋の記憶は次々と蘇ってくるのに、自分のことはいくら考えても思い出すことができなかった。