大嶋が北川市からいなくなった後も、私はしばらく彼のことを忘れることができなかった。

もう今からは10年以上前のことなので、具体的にいつまで大嶋のことを好きだったのかまではさすがに覚えていない。


それでも高二の終わり頃には同じ部活の先輩と付き合うこともあった。だけどその先輩を好きになる直前までは、間違いなく大嶋のことを好きなままだったと思う。


高校に入るときに、両親から初めて携帯電話を買ってもらった。大嶋のアドレスを知ることができたらと、あの時何度思ったことだろう。


私と同じ高校へ進学したヒロは大嶋の番号も知っているようだった。

勇気を出してそれを聞くことができたらと、あの頃の私はずっと悩んでいたのだ。


だけどあの時ヒロからアドレスを聞き出したところで、結局は今と同じでこちらから大嶋に連絡することはなかったんだろうな。