「落ち着けって。お前が浅倉に言おうとしていることは、宮西にとったら余計なことなんだぞ。なんのためにヒロから身を引いてるんだよ」


そこで浦東は怯んだようだった。少し間が空いてから「うん、そうだね、ごめん」と言った。


「板ばさみになっているお前の気持ちもわかるけど、お前はちゃんと二人の間に入っていてやれ。

宮西のことは……俺に任せてくれないか?」


自分でもなんでそんなことを言ったのかわからなかった。言ったところで、何か策があるわけでもない。


「……わかった。大嶋、うまくやってね」

「任せとけ。お前、俺を誰だと思ってんだ」


体育館掃除を終えた宮西が、森真綾と一緒に教室に入ってくるところだった。そのまま宮西が浦東に声を掛け、二人は一緒に下校していった。


俺はその二人の後ろ姿を見送りながら、あいつのことは絶対に俺がなんとかするという、謎の正義感に駆られていたのだった。