新選組と最強少年剣士

紅の表情が己に向いても、剣壱は何も変わらなかった。


「龍美、お茶飲む?」


場に似つかわしくない問だった。


剣壱が湯飲みに注いだお茶を紅に差し出す。


さっきまで自分が使ったいたものだ。


まるで紅の変化に気づいてないかのように。


だがそんなはずはない。


あの剣壱が、気づかないわけがない。


なのに、


「てか飲んで。さっきから全然飲んでないじゃん。僕のあげるからさ」


「‥‥‥‥」


「僕ねぇ、ここに来て土方さんの小姓なんてやってるから、お茶淹れるの上手くなったんだよ。立にも褒められた」


「‥‥‥なら、飲まないわけにはいかないな」


殺気がいつの間にか無くなっていて、紅はさきほどと同じく微笑んでいた。


何もなかったようにお茶を受け取り、喉に流す。


すると少し目を見開いてた。


「これは‥‥‥うまいな」


「ふふん♪」


「茶葉がいいのか‥‥‥?」


「素直に僕を褒めてよ!」


「冗談だ」


「この野郎‥‥‥」


剣壱は拳を握った手を力なく下ろした。


そして身体を土方に向き直り、苦笑して困ったように笑った。


「土方さん」


「あ、な、なんだ?」


「この通り龍美は変わってるけど人間だし、手間のかかる僕の部下です。だから‥‥‥あんまりイジメないでやってください」


それは、つまり。


これ以上余計なことは言うなと、踏み込むなという線引き。


紅と土方は会ったばかりだ。