新選組と最強少年剣士

また変な単語だ。


〈殺す〉ではなく〈壊す〉。


剣壱と付き合ったいる以上、これは重要なことだった。


ただ殺すのは生ぬるいのだと、剣壱は言う。


壊すというのは、きっと言葉通り人間を壊すということなのだろう。


「土方さん、たぶん今、土方さんは勘違いをしてるよ」


そこで、剣壱から止めが入った。


「!‥‥‥どういう意味だ」


「こいつは基本的に、命令には完璧に従う。それは確かだよ。たとえば〈土方さんを殺せ〉と、それだけ言ったらこいつは殺すだろうね。だが問題はその次。わかる?」


命令は完璧。


それ以外。


〈標的を殺せ〉のみの命令‥‥‥


「‥‥‥後始末とかか」


「さすが、正解。こいつにもし暗殺の命令をするならこう言わなければならない。

1、標的の殺し方 2、回りへの被害
3、時間指定 4、罪を誰に被らせるか

ここまで指定して、初めてこいつはちゃんと仕事をする」


「もし好きにしろと任せたらどうなる」


「早いうちに標的は始末される。ただ、死体は酷い有り様だろうね?」


ああ、本当にこの男は人を斬ることしか頭にないのか。


そう土方は改めて理解する。


それこそ、こいつは殺人鬼ではないか‥‥‥


「拷問も苦手だよ。というより、手加減が苦手だから気づいたら死んでた、なんて前例が多々ある。こっちも付き添いとか、命令を制限してればちゃんとやるだろうけど」


「‥‥‥なぁ、本当にそいつは人間か?」


土方は額に手をあてる。


文字通し狂っている男。


だが問題はそこじゃない。


今、目の前にそいつがいるというに、土方はこの男に対して恐怖感を抱かない。


紅はただそこに座って、笑っているだけなのだから。