新選組と最強少年剣士

それが本当だったら、どれだけ暑がりなんだか。


「目の下真っ黒だよ。綺麗なお顔が台無し♪」


「黙れ」


土方さんのあしらいに思わず笑みがこぼれた。


あ、そうだ、報告報告。


土方さんのそばに腰を下ろす。


筆を置いて、土方さんが僕と目を合わした。


「今日はスリを捕まえてきたよ」


「平助から聞いた。また単独行動したってな」


「平にぃがノロマなのさ」


「言ってくれるじゃねえか」


土方さんの眉が少し動き、溜め息をつく。


刹那的、呆れた表情から真剣や表情に変わる。


強い目が僕を映す。


「桜木剣壱」


「なんですか?土方副長」


「お前を見込み、そして信用して頼みたいことがある」


さて、また大事な依頼か。


今回はどんなのやら。


‥‥‥まぁ予想はついてるんだけど。


「芹沢さんが死んで、今、新選組は本当の意味で一枚岩になろうとしてる」


「そうだね」


「だが、そこで邪魔な存在がいる」


土方さんと僕は互いに目を光らせた。


次に言う単語が分かる。


「間者だ」「間者、だね」


間者。


未来の言葉で言うと、スパイのようなもの。


回し者という時もある。