巡察の報告でなくとも、僕は外へ出る時&返ってきた時には、土方さんに報告することが義務づけられている。


立には義務づけてないのに‥‥‥


「立、お昼ご飯食べ終わったら道場ね。稽古と僕の身体の馴らしに付き合って」


「はい。承知しました」


「じゃあまたね〜」


立に手を軽く振って別れる。


そして土方さんの部屋の前についた。


「土方さん、入るよ」


「ああ」


土方さんの返事が聞こえ、襖を開ける。


部屋には、相変わらず机仕事に専念する美男がいた。


この新選組の副長。


名を、土方歳三。


釣り目で、日本人特有の黒の瞳と流れるような黒髪。


恐らく、新選組で1番のキレ者。


文武両道、容姿端麗の正にエリート。


実際、僕も稽古では負けたことがある。


‥‥‥ま、実戦じゃ絶対、ぜーったいに負けないけどねっ!


「髪下ろしてる。珍しい」


男のくせに、髪を下ろしてるのも似合う。


イケメン滅‥‥‥おっと失礼☆


「さっき稽古してきたんだ。それで汗をかいたからな。朝風呂に入ってきたんだ」


「ふ〜ん、あの冷えたお風呂ね」


江戸時代、当然お風呂を簡単に沸かせたり水を変えたりはできない。


手間がかかる。


それに今は9月の後半。


汗を掻いたからといって、冷えたお風呂に入るのはあまりよろしくない。


「冷えたのがいいんだよ」


「どうせ眠気覚ましに入ったんでしょ?」


「そんなこたぁ言ってねえだろ」