さて、再度やってきました道場。
今度は立と一緒に素振りをしています。
立は槍用の木刀です。
「立〜力みすぎだよ〜」
「は、はいっ!」
汗をかいてしんどそうな張りつめた声。
やっぱ体力ないよね〜
「ん、ちょっと休憩しようか」
「いえ、まだ大丈‥‥‥」
「そんな力んだやり方じゃあ体力の無駄使いだよ。ほれ、木刀おいて」
「はい‥‥‥」
大きく息を吐き、脱力したように座る立。
立は良くも悪くも天才肌だ。
興味や納得のいったものはすぐに出来るが、逆にあまり興味などがないと出来が遅い。
努力家だが、こればっかりは立の体質だから仕方がない。
近接戦闘はまだまだ未熟なんだよなぁ。
まぁ僕も、遠距離戦闘で立に勝てって言われたら困るんだけど。
大きく伸び軽くストレッチをし直し、深呼吸。
「‥‥‥さて、それじゃあ試合といこうか」
「はいっ」
立かは離れ、お互いに距離を取る。
僕は構えずに立ち、立に笑顔を向けた。
「好きなように打ち込んで」
「‥‥‥‥」
立の気配が消えた。
見えるのに、まるでそこにはいないよう。
目は細められ、ゆっくりと立が構える。
「‥‥‥‥っ!」
刹那的、射すような殺気が僕に向けられた。