新選組と最強少年剣士

影は1つだから、まぁ十中八九部屋の主。


‥‥‥まぁ、いいか。


「失礼しま‥‥‥」


「うおぉ!!!ちょ、待‥‥‥開ける‥‥‥」


「にゃ〜」


「っぇ、」


襖を開くと、黒い物体が僕の足に突進。


僕はすぐさまそれを捕まえる。


「にゃ〜」


「叶?」


突進してきたそれは、猫。


今や僕の飼い猫で、非常に優秀なペットだ。


「あぁぁ〜もぉ〜めんどくせぇぇえ!」


と、部屋の中だ泣きそうな声で叫ぶ男。


新選組八番組組長 藤堂平助。


新選組幹部最年少で、特攻隊長的存在だと僕は思っている。


頭で考えることには不向きで、実戦で力を発揮するタイプの人間だ。


「平にぃ、どうし‥‥‥うぇ?」


叶を肩の上に乗せようとして、その動作が止まった。


無言で叶を床に下ろし、手を見つめる。


「にゃ〜」


叶はお行儀よく僕の足元に座っている。


が、その尻尾は揺れていて、まるで肩に乗せなかったのが不満な様だ。


でも、ねぇ‥‥‥


手の平はなぜか黒く染まっていた。


部屋を見渡せば、ばらまかれた半紙。


机には溢れた墨。


畳には、叶の足跡だろう黒い墨の猫ハンコがいくつもあった。


「えっと‥‥‥平にぃ?」


「あぁぁあ!報告書書き直しだぁ!!」